4月9日(土)、令和4年度入学式を執り行いました。今年も新型コロナウィルス感染拡大防止のため、在校生は出席しませんでしたが、当日は天候にも恵まれ、来賓のPTA会長をはじめ、保護者のみなさま、教職員一同に見守られながら、新たに158名の生徒が平田高校生の仲間入りをしました。
 式では、まず158名一人ひとりが呼名されて入学が許可され、校長式辞の後、来賓のPTA会長から新入生への激励の言葉をいただきました。その後、新入生代表生徒が「高校生活では新たなことにも積極的に挑戦すること、自分の夢や目標を実現するため、困難にも負けない強い心と希望を持ち続けること」を宣誓しました。
 式の後は教室に入り、各クラスで担任によるホームルームが 行われました。
 新入生の皆さんがこれから3年間充実した高校生活を送ってくれることを期待しています。

 

  式辞

 新緑が輝きを増し、すがすがしい春の風が吹き抜けていく今日のよき日、令和4年度、島根県立平田高等学校入学式を、PTA会長 角 啓好様をお迎えし、また多くの保護者の皆様にご出席いただき、挙行できますことを大変うれしく思います。本校を代表し深く感謝申しあげます。 
  しかしながら、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため、出席者を限定することとなり、大変申し訳なく思っております。どうかご理解の程よろしくお願いいたします。
 先ほど入学を許可しました、第76期生、158名の新入生の皆さん、ご入学、おめでとうございます。本校の在校生、教職員一同、皆さんを心から歓迎いたします。
 保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。高校時代は、将来の自立に向けての最後の準備期間であると言われます。揺れ動きながら成長していくお子様を、ともに協力しながら支えていきたいと思っております。そのためには、ご家庭と学校との連携を密にすることが何よりも大切であると考えています。私ども平田高校教職員は課せられた責任の重さを感じながら、気を引き締め、お子様の大いなる成長を目指して教育活動に取り組んでまいります。どうか、本校の教育活動にご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
   さて、新入生の皆さん、皆さんが入学しました平田高校は、大正5年(1916)に平田農学校として設立以来、幾度の変遷を経て、今年で106年目を迎える歴史と伝統のある高校です。卒業生は18,000名を超えており、平田地域はもとより、島根県内また全国各地で、政治、経済、文化など、あらゆる分野において、たくさんの方々が活躍されています。
   本日から本校で過ごすこの3年間は、今後の皆さんの人生において大変大きな意味を持つ時期であることは言うまでもありません。そこで、今日は皆さんの高校生活が有意義なものになりますように、心に留めておいてほしいことを二つお話ししたいと思います。
一つ目が本校の教育方針、二つ目は今春、本校を卒業した先輩の取組についてです。
 教育方針とは平田高校の教育が目指す方向を意味します。教育方針の大きな意義は、学校づくりに関わる人々に価値観の共有をもたらすことです。「こういう学校にしたい」、「こんな生徒を育てたい」という価値観を共有することで、関係するすべての人々が具体的な目標に向かって、ともに取組を進めることができ、一人一人の取組では得られない成果をもたらすことにつながります。新入生の皆さんにも共有してほしいと思います。
 その基盤となるのがステージ右上に掲げてある校訓「自律・協同・創造」です。そして、教育方針、すなわち育てたい生徒の姿は「主体的な姿勢と 協調の精神をもって 常に新しい時代を切り拓く人格の形成に努めさせる」というものです。これだけではよく分からないと思いますので、もう少し具体的にお話ししましょう。
 本校の基本構想ともいうべきグランドデザインに「育てたい生徒像」として次の4点を掲げています。

1 自他の人権を尊重し、差別をなくす実践力のある生徒
2 自己管理ができ、諸活動に対して主体的に取り組む生徒
3 「生きる力」となる学力を身に付け、たくましく自己実現を目指す生徒
4 社会の一員であることを自覚し、よりよい社会の実現のために貢献する生徒

それでは、それぞれについて説明します。

1 自他の人権を尊重し、差別をなくす実践力のある生徒

皆さんは県内17の中学校から本校に入学してきました。それぞれ豊かな地域性の中で、学校の特色を活かした教育を受けてきたことと思います。縁あって今日から本校でいっしょに学ぶことになったわけですから、お互いの個性や違いを認め合い、そして受け入れ、互いに高め合えるような友人関係、そしてクラスを、学年を、作り上げてほしいと願っています。

2 自己管理ができ、諸活動に対して主体的に取り組む生徒

自己管理の第一歩は健康管理です。様々な理由から欠席や遅刻をしなければならないことがあるかもしれませんが、一日一日の学校生活を大切にしてほしいと思います。また、言うまでもなく高校生の本分は学業です。しかし、学業だけでなく、学業を軸としながら、部活動、課外活動など自分が打ち込めるものを見つけ、体力や精神力を鍛え、人間的な幅を広げてほしいと思います。目指すは文武両道です。

3 「生きる力」となる学力を身に付け、たくましく自己実現を目指す生徒

時代は平成から令和に変わり、暗記中心で知識・技能を身に付けるだけではなく、一つの問題や課題に対して自分はどのように考えるのか、そして自分の考えや学んだことを自分の言葉で表現する力を身に付けることが必要とされています。ぜひ社会に出てからも活かせるような「生きる力」につながる取組を心がけてほしいと思います。また、高校入学はゴールではありません。今後の自己実現につながる高校卒業後の進路目標も少しずつイメージしてほしいと思います。何もしないままで目標が定まるというものではありません。自ら動き考え、情報収集をし、先生や保護者をはじめとする周囲の方々に助言を求めることも大切です。

4 社会の一員であることを自覚し、よりよい社会の実現のために貢献する生徒

本校はこの3月まで文部科学省の「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」の指定校として、平田商工会議所や島根県立大学など地域の様々な機関と連携しながら、地域の活性化と地域人材の育成につながる、体験的・探究的な質の高い学習に取り組んできました。皆さんも「総合的な探究の時間」に1年次は個人探究活動、2年次に班別地域協働学習、3年次に進路探究学習に取り組む予定です。このような学習を通して、地域や身の回りの課題を題材としながら、その解決策を探り、自分の生き方やあり方を考え、地域貢献意識や社会参画意識を高めてほしいと願っています。

 最後に今春、本校を卒業した福田大和さんが3月に発行された卒業生会の会報である「暁星新聞」に寄稿してくれた文章の一部を紹介します。
「さらに上のレベルまで自分を高めなければならないという思いで、今まで以上に食事、睡眠、トレーニング、練習、日常のほぼすべてを柔道のために捧げました。テスト勉強のために練習時間をつぶすことはしたくなかったので、授業も集中してしっかりと受けました。全国の強豪校と比べると、恵まれた環境とは言えませんが、監督の高橋先生は私の選手としての感覚に耳を傾けて下さり、やらされる練習ではなく、考える練習ができるメニューを組み立ててくださいました。ともに汗を流した仲間、どんな時も支え励まし、いつも一丸となって目標に向かってくれた家族、私に関わってくれたすべての人に感謝したいです。」
 彼は在学中、親元を離れ、下宿生活をしながら柔道に打ち込み、全日本ジュニア柔道体重別選手権男子66キロ級で優勝、見事日本一の栄冠に輝き、その後、国際大会であるグランプリポルトガルに出場し、5位入賞を果たしました。卒業後は大学で柔道を続け、さらなる高みを目指します。

 新入生の皆さん、今紹介した、福田先輩の文章が示すように、本校には皆さんが志を持って学ぼうとすれば、その気持ちに十分応えられる機会が準備され、また皆さんを全力でサポートしてくれる先生方が待っています。どうか、この平田高校という環境を十分に活かし、充実した高校生活を送ってください。
 新入生158名の皆さんの成長と、大いなる志の実現のために、教職員が一丸となって尽力することをここにお誓い申し上げ、式辞といたします。

令和4年4月9日

                     島根県立平田高等学校 校長 小林 努

クラス発表
クラス発表

新入生代表宣誓
新入生代表宣誓

ホームルームの様子
ホームルームの様子