校長のひとりごと R7.6.12
2025年06月12日
※「平高生よ、熱く地域を語れ」
平田高校に赴任してから、いわゆる「地域・地元愛」について熱く語る生徒と出会っていない気がする。それもあって卒業式の式辞に「鰐淵の石こう」を盛り込んだ。
私は隠岐の島町の出身。隠岐島前高校で勤務していた頃は県外・島外から入学してきた生徒たちが新聞紙面や多くのWeb記事で紹介され、その際には自然・人との出会い・ささやかな出来事に感じる幸せ感が多く語られていた。「何がそんなに魅力的?」と私は正直感じていたが、海士町での生活が半年を経過したあたりで、隠岐弁がほぼよみがえり、日々の会話等のなかに人と人との繋がりを実感するようになっていた。ある人から「先生、この間キャベツ抱えちょったな」、「先生、この間は○○におったって聞いたぞ」と言われても、これを大げさにプライバシーの侵害などとは思わず、「気にかけてくれているのだな」と素直に感じるようになっていた。このような日常を隠岐生まれの私でも強く感じているから、県外・島外からの生徒たちはさらに強烈に感じているのだろうと想像できる。また、島内出身の生徒たちからは「県外から来た人たちと話をしているうちに、地域の温かさや自然の魅力をようやく実感できるようになった」という言葉を聞くことも多かった。大切な”もの”や”こと”ほど気づきにくく、見つけにくいものなのかもしれない。
平田高校写真部は今年度も「写真甲子園2025」出場を目指し「生まれ育った場所だからこそ…」をテーマに作品作りに取り組んだ。撮影の過程で何を振り返り、何に気付いたのか?加えて魅力的に感じ取れたものは何であったかを聞いてみたい。本校1年生は6月10日「ウイングバスツアー」に出かけた。鰐淵や伊野など計4カ所をめぐり、地域課題の現状や現在までの取り組みを聞く。加えて景勝地等を訪問し、地域資源が有する価値に気付くという内容である。何にピピッきたか、新たな発見はあったかのか、これも聞いてみたい。日々の活動が今後も地域の温かさや自然の魅力を感じる第一歩となってくれることを期待しつつ、やはり外せないことは人と人との直接的な対話から築かれるつながりであると思う。
私はエリア外の住民ではあるが、平田エリアの方々との直接対話を軸として、昨年以上に様々お話しさせていただきたいと考えている。そして、気付いたこと(この地域の良さや魅力、あるいは課題など)を生徒たちにも伝えていきたい。今年度も卒業式の式辞には、あえて「鰐淵の石こう」を仕込む予定だ。