※「郷に入れば郷に従え」の私的な解釈

民間組織「人口戦略会議」がまとめた報告の概要が19日判明した。2020~50年の間で、子どもを産む中心の年代となる20~39歳の女性が半数以下となる自治体は「消滅可能性」があるとした上で、全体の40%超の744自治体が該当すると分析している。
このようなニュースが報道されているなかで、私的には平田高校に着任して3週間が経過した。本校も「地域との協働」がアピールポイントの学校、町へ出かけお話しさせていただくと「高校と様々やりたい」「小中学校でも高校の取り組みを参考にチャレンジしたい」「何かお手伝いできることはないですか」「〇〇〇センをどんどん利用してください」「平田高校は大事な地域資源です」などの多くの言葉をいただいた。前任校(隠岐島前高校)の地域連携もすさまじかった(笑)が、平田エリアもなかなかである。本校も広範なエリアから生徒が集まってきている。平田エリアからの生徒は「持続可能な地域づくり」のために深く学び続け、他エリアからの生徒は平田エリアの状況をしっかりと把握することから始め、ともに協力して自分たちに何ができるかを考えてほしい。そしてその考えを「失敗を恐れず」に行動に移してほしいと願っている。冒頭のニュースのような未来を迎えないためにも。
さて、今回は私が考える「郷に入れば郷に従え」について多少述べる。私は平成23年から横田高校に勤務した経験、そしてラグビー好きであったことから当時のエディー・ジョーンズヘッドコーチのインタビュー記事を目にし、この言葉の解釈が変わった。奥出雲エリアに何のゆかりもなかった私であったが、何かの活動をしようとするとき、まず大切な事は、そこには独自の文化があることを認識することだった。だが、同時にわいてきた気持ちは「その場に溶け込んでしまうことではなく、何かを生み出したいなら、エリアを俯瞰し、できることとできないことを判断しなければならない」であった。「郷に入れば郷に従え」は文化適応として大切な考え方だが、現状から一歩踏み込む際には意識的に「違うもの」をその場に持ち込むことも必要であると強く思い出した時期であった。
その後、宍道高校→国立三瓶青少年交流の家→隠岐島前高校で勤務したが、地域の方々との交流を第一としつつも、この気持ちは持ち続けた。その場における「当たり前」と異なるものは、時に違和感を生じさせる。それをきっかけとして、物事が揺らぎだし、新しい何かが生まれることがある。「先の見えない、変化の激しい現代」を生きる生徒たち、地域と協働して持続可能な地域づくり等に係わりたいという気持ちを高めつつ、地域の方々や生徒・教員等の多くの人たちとの出会いのなかからふと感じる「違和感」を大切にしてほしい。
さあ、私もチーム平田高校の作り方は、出雲・平田圏の地域文化やこれまでの学校文化の基礎は抑えた組織づくりの方針を持ちつつ、私のこれまで経験や出生地である隠岐文化の要素も時折持ち込み「違和感を生じさせる」ことにあえてチャレンジさせていただきます。どうかご支援、ご教示よろしくお願いいたします。