平成29年度の卒業式をおこないました(3月3日)

3月3日(土)、今年度の卒業式(第69回)を本校体育館でおこないました。
 暖かな春の日ざしにつつまれながら、157名の卒業生が、それぞれの進路に向けて巣立っていきました。


平成29年度の卒業式をおこないました(3月3日)

●卒業証書の授与
平成29年度の卒業式をおこないました(3月3日)

●卒業生代表による答辞
平成29年度の卒業式をおこないました(3月3日)

●校長式辞

 厳しい寒さも和らぎ、ここ愛宕山に吹き渡る風にも、ようやく春の気配が感じられるようなってきました。この早春の佳き日に、PTA会長 勝部 栄 様 をはじめ、多数のご来賓の方々、並びに保護者の皆様方のご臨席を賜り、島根県立平田高等学校 第69回卒業証書授与式を挙行できますことは、卒業生はもとより、本校教職員・生徒一同、誠に光栄であり、喜ばしいことと存じます。高いところからではございますが、心より感謝申し上げます。

 さて、ただ今157名の卒業生に卒業証書を授与いたしました。卒業生の皆さん、本当におめでとう。思い起こせば、平成27年4月、私も皆さんとともにこの平田高校の門をくぐりました。3年間の平高生活を皆さんと共有できたことに、感慨深いものを感じずにはいられません。3年前の入学式でのまだ幼さが残る姿から、一回りも二回りも心身ともに成長し、心から頼もしく感じています。 本日、皆さんの一生の中でも、特別な節目の日を迎え、今心の中には、毎日の授業、鈴懸祭や球技大会などの学校行事、部活動で頑張っていた日々、日常の友人との何気ない会話など、3年間の学校生活での様々な場面が甦ってきていることと思います。人生で最も多感な青春時代を、創立101年目という新たな一世紀に向けての一歩を歩み始めた、長い歴史とすばらしい伝統に輝く、この平田高校で学び、そして、良き仲間と共に過ごした日々の思い出は、これからの皆さんの人生において、きっと貴重な財産として、いつまでも心の中に生き続けていくものと確信しています。今日、本校を巣立っていく皆さんは、これから一人ひとり様々な進路を歩み始めることになりますが、健やかに、いつまでも希望を持って歩んでいってくれることを、教職員一同、心から祈っています。

 ところで、今大きなブームを呼んで、ミリオンセラーとなっている本があります。それは、80年も前に出版された、吉野源三郎という方の名著「君たちはどう生きるか」を漫画で描き直した本です。すでに読んだ人もいるかも知れませんね。主人公は、あだ名が「コペル君」という15歳の少年です。舞台は1937年の東京で、世の中のことや生きる意味について 悩みながらも次第に自分の頭で考え始めたコペル君を、お母さんの弟、叔父さんが導いていくというストーリーです。80年前というと、昭和の始めで、人々が気づかぬうちに一つの価値観へと押し込まれ始め、多様な考え方は消滅し、社会にますます閉塞感が増していった時代だと言われます。そのころの本が今、多くの人たちに読み返されているということは、どういうことなのでしょうか。漫画であるという手軽さや今の日本の社会背景といった要因もあるのかも知れませんが、やはり今も昔も同様に、「大人のなるということはどういうことなのか」、「本当に人間らしい関係とはどういうものなのか」、そして「どうのように生きていくべきなのか」といったことが、私たちの根源的な永遠のテーマであるからなのかも知れません。君たちも、遅かれ早かれこの現代社会の中で、自らの力で自分が歩む道を選択していかなければなりません。その意味でこの本は多くのヒントを与えてくれるように感じます。そこで、印象に残った叔父さんの言葉を少し紹介したいと思います。

 その一つは、「いろいろな経験を積みながら、いつでも自分の本心の声を聞こうと努めなさい。」という言葉です。「自分自身の実体験を通じて感じた様々な思いをもとにして、心の奥底から湧き上がってくる正直な気持ちを大切にする。」ということでしょうか。今、 情報化社会が進展する中、スマホ一つあれば様々なことが可能になり、誰もが容易く情報の発信、受信ができる反面、真偽の見分けのつかない情報が氾濫し、ややもすると私たちの言動がそれに左右されているのも現実です。しかし、大切なことは、固定観念や世間の常識にとらわれず、周りの雰囲気や流行に安易に流さないで、自分の頭と心で判断することです。そして、この繰り返しの中にこそ、どんな時代や状況にあっても、他者に依存せず、自分の意思と責任で判断し行動する力、すなわち「自立する力」、「自らで立つ力」が培われていくのだと思います。

  二つ目は、「本当に人間らしい関係とは、お互いに好意を尽くし、それを喜びにすることだ。」という言葉です。好意とは、他者への親しみや好ましく思う気持ちのことです。これは「他を幸せにすることで、自分も幸せになる」という意味でしょうが、文脈から「自分の欲望を優先した生活からは、幸せは生まれない。」ということだとも解釈できます。グローバル社会の到来が声高に叫ばれる反面、テロや戦争、経済格差や貧困問題、地球規模の環境問題や海洋資源問題等々、これらは全て自らの主張や利益を優先し、他の立場や価値観を思いやり、理解しようとしないことの延長線上にあるのではないでしょうか。全ての人々、一人ひとりは、幸せな人生を築きたいと考えているはずです。ならば、ともにより良く生きていくために、自分と同じように相手を尊重し、心を合わせて助け合っていこうという考え方。すなわち「他者と共に生きよう」、つまり「共生」という考え方こそ、大切にしていくべきことだと思います。

 皆さんは、これから長い人生を歩んでいきます。その途中では、「分かれ道」で選択を迫られたり、高い「壁」に行く手を遮られたりすることも。あるいは、得体の知れない流れに翻弄され、迷いに迷うこともあるかも知れません。しかし、「自立する力」を身につけ、「共に生きよう」とするなら、きっと自ずから目指すべき道は開かれることでしょう。数十年後、君たちはどのような人生を歩んでいるでしょうか。どうか、自らの力で確かな自分自身の充実した人生を築き上げてくれてることを、心から願っています。

 最後となりましたが、今日まで、慈しみ、育んでこられた保護者の皆さま、お子様が本校での3カ年の課程を無事修了され、本日の晴れの卒業の日を迎えられましたこと、本当におめでとうございます。「独り立ち」には、あと少しの年月がかかるかとは思いますが、卒業という節目を迎えられたお子様の姿に、感激もひとしおのことと思います。これまで、本校の教育方針、教育活動に深いご理解をいただくとともに、特に1、2年次には創立百周年記念事業に関しまして、多大なるご協力、ご援助くださいましたことに、厚く御礼申し上げます。お子様は、今日をもって巣立っては行かれますが、今後とも本校のさらなる発展のためにお力添えをいただきますようお願いいたします。 
それでは、卒業生の皆さん。君たちの未来に、幸多きことをお祈りして、式辞といたします。

   平成30年 3月 3日
                                  島根県立平田高等学校長
                                                          井 村  孝 之


島根県立 平田高等学校

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